社長メッセージ

代表取締役社長 社長執行役員 松田 光司

新中期経営計画の3本柱を推進し、震災を踏まえた
更なる災害対応力や地域のBCP対応の向上を図り、
3Cを通じ北陸地域とともに
持続的な発展・復興を目指します



 代表取締役社長 社長執行役員  松田 光司


令和6年能登半島地震への対応

    2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震により、能登を中心に石川県や富山県等の広範囲において甚大な被害が発生しました。まずは、この地震で亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
  この地震により、当社管内では延べ約7万戸にわたる大規模な停電が発生しました。地震発生直後より、私をトップとする非常災害対策総本部を立ち上げ、「こころをひとつに能登」をスローガンに、グループ一丸となり、協力会社や他電力の皆さまの応援も受け、国・地方自治体等との連携の下、被害状況の把握、電力の復旧に全力で取り組んでまいりました。余震や雪が降り積もる中での過酷な環境でありましたが、早期の復旧に努めることができました。ご協力いただきました全国の皆さまに深く感謝申し上げます。
  発電設備については、七尾大田火力発電所において、石炭受入設備の倒壊やボイラー配管の損傷など甚大な設備被害が生じましたが、全力で復旧にあたり、1・2号機とも夏場に入る前に運転を再開しております。志賀原子力発電所においては、原子炉施設の安全性に問題はなく、外部への放射能の影響や敷地内断層・地盤の変状等に異常がないことも確認していますが、変圧器やタービン等の設備に損傷を受けました。詳細な点検や原因分析を進め、適切に復旧を実施していく予定です。
  地震が発生した元日の16時10分頃、私は富山市内の自宅におりましたが、私の 家も激しく揺れ、その直後には津波からの避難呼びかけ等もあり、まさに日常が非日常へ一変し、尋常でない事態であると感じました。地震発生直後、すぐに会社に向かい17時前には出社し、18時から第1回の非常災害対策総本部会議を開催しました。被害の状況を把握していく内に、今回の震災は当社がこれまでに経験したことのない未曽有の災害であると認識し、私たちの故郷の暮らしや産業を早期に取り戻すため、一刻も早い電力の復旧に当社グループの総力を挙げて立ち向かわねばならないと決意いたしました。1月中には立ち入り困難エリア等を除き、大方の停電を解消し、3月15日までには、お客さま設備の健全性の確認ができていない場合等を除き復旧することができました。しかし、本復旧にはまだまだ時間を要すると思われますので、引き続き「こころをひとつに能登」を合言葉とし、グループ一丸となって、復旧そして地域の復興に全力を挙げて取り組んでまいります。 

当社グループの使命と役割を踏まえた2024年度アクションプラン

  今回の能登半島地震という未曽有の経験は、当社グループがどうあるべきかを見つめ直す機会となりました。電気を安定的にお届けするという使命、そして北陸地域とともに歩んできた当社グループのDNAを再認識し、1日も早い復興と、活気あふれる地域への更なる発展に向けて、北陸地域に貢献していきたいという更に強い意志を持ちました。これらを踏まえ2024年度については、昨年度策定した「北陸電力グループ新中期経営計画〈2023~2027年度〉」(以下、新中期経営計画)の経営の3本柱や財務目標は堅持しつつ、災害対応力の更なる向上や、地域・お客さまのBCP 対応等のため各柱の取組みを強化した「2024 年度アクション
プラン」を策定しました。
  昨年度策定した新中期経営計画は、Ⅰ「安定供給確保と収支改善および財務基盤強化」、Ⅱ「地域と一体となった脱炭素化の推進」、Ⅲ「持続的成長に向けた新事業領域の拡大」を経営の3本柱とした2023年度から2027年度の5年間にわたる計画です。また、各柱に対応する形で財務目標(連結経常利益450 億円以上、連結自己資本比率20%以上[2027年度末]、連結自己資本利益率[ROE]8%以上)を設定しました。震災により2023年度に451億円の特別損失を計上いたしましたが、経営の効率化や収支改善、様々な成長投資等、着実にこれらについて施策を積み上げて、何とかこの目標を達成したいと考えています。

経営基盤を支える取組みの強化により、経営の3本柱の強固な土台を築く

  経営の3本柱への取組みを加速するためは、生産性の向上や、人的資本を大切にする経営、コンプライアンスの徹底・強化等による、経営基盤を支える取組みの強化が不可欠だと考えています。
 生産性向上に資する取組みとして、業務改革の推進やDX実現に向けた「DX戦略」を策定し、2023年度には経済産業省が定める「DX認定」を取得しました。また、DE&I の推進や、禁煙促進・受動喫煙防止をはじめとする健康経営等を実施し、多様性と成長の促進・人を大切にする企業文化の深化を図ることで、企業価値の向上に繋げています。特に昨年度は男性育児休業の取得率100%達成等トップクラスの成果を実現しました。また、2024年7月には、「総務・コンプライアンス推進部」を新設し、コンプライアンスおよびリスク管理体制の強化を図っています。
 引き続き、グループ全体で積極的に経営基盤を支える取組みの強化を行い、各柱を支える強固な土台を築いていきたいと考えています。

ステークホルダーの皆さまへ

 当社グループは、今回の震災により甚大な損害を受けましたが、一方で多くの知見を得ることもできました。この体験を糧に、2027年度までの新中期経営計画の実現に邁進するとともに、その先にある「北陸と共に発展し、新たな価値を全国・海外へ」という、北陸電力グループ2030長期ビジョンで掲げた、ありたい姿の実現を目指し、グループの総力を挙げて、更なる企業価値の向上に取り組んでまいります。
 そして、これまで当社グループは、電気の安定供給という使命を通じて北陸地域とともに発展してきましたが、能登をはじめとした北陸地域の1日も早い復興を力強く支援し、厳しい変革【Change】の中でも、これを機会【Chance】と捉え、果敢に挑戦【Challenge】する3Cを推進させ、北陸地域に引き続き貢献するとともに、事業領域の拡大等を通じてお客さま・株主をはじめとしたステークホルダーの皆さまのご期待にお応えし続けてまいります。
 引き続き、当社グループの事業活動について、格別のご支援を賜りますようお願い申し上げます。


2024年11月


代表取締役社長 社長執行役員